74歳 男性
4月24日午後3時頃より上腹部痛出現。近医で点滴を受けたが治まらず、当院救急外来受診。CT上、胃拡張の診断にて入院。CRP0.4, WBC13900
入院にて様子を見ていたが、4/27血液データ上、CRP38.0, WBC7200, GOT48, GPT43, AMY318, Glu168, LDH701と異常値を示しており、再度CT施行。
小腸イレウスの診断でイレウス管挿入し経過観察。5/1、単純・造影CT施行。
2)小林先生
症例1
57歳 女性
2日前から上腹部痛あり。左下腹部に圧痛あり。反張痛なし。デフェンスなし。
CRP9.2 WBC15100 LDH301 plt 54.9万
既往:DM,脳梗塞 アレルギー性紫斑病
内服:アマリール,バイアスピリン
症例2
38歳 女性
2週間前から上腹部痛あり、4日前に右下腹部痛となる。近医受診し、虫垂炎疑いにてER受診。マックバーニーに圧痛、反張痛。CRP1.1 WBC7700
既往:尋常性乾癬
薬歴:加味逍遙散(かみしょうようさん)、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
3)森先生
71歳 男性
直腸癌術前で他院より紹介された。直腸診で6時方向を触れると疼痛あり。
Labo data:CEAを除き正常範囲内。CEA 6.5↑(<5)
4)加藤先生
91歳 男性
主訴;左側腹部痛
既往歴;回盲部癌加療後(2007)
画像所見;左後腹膜領域~左腎周囲腔に多量のガスが出現している。腹腔内にもガスが認められる。
経過;1週間ほど前から体調不良、食欲不振、左側腹部痛あり増悪したため救急来院。同日CT施行され、上記が認められたため後腹膜膿瘍に対しドレーン留置し抗生剤にて加療したが入院約1ヵ月後死亡される。
剖検の結果、膿瘍の原因は壊死性膵炎の波及によるものと診断される。Retrospectiveにみると2007.11.28CTと比較して2008.1.7CTでは周囲に液体貯留などないものの膵尾部に縮小が疑われる。
1 件のコメント:
1)石井先生
74歳 男性
4月24日午後3時頃より上腹部痛出現。近医で点滴を受けたが治まらず、当院救急外来受診。CT上、胃拡張の診断にて入院。CRP0.4, WBC13900
入院にて様子を見ていたが、4/27血液データ上、CRP38.0, WBC7200, GOT48, GPT43, AMY318, Glu168, LDH701と異常値を示しており、再度CT施行。
小腸イレウスの診断でイレウス管挿入し経過観察。5/1、単純・造影CT施行。
診断:上腸間膜動脈血栓症
SMA起始部よりやや末梢に造影欠損が見られた。retrospectiveに見ると、来院時の単純CT上もSMAは血栓が存在する部分で若干高吸収を示しており、SMVはやや細い。
2)小林先生
症例1
57歳 女性
2日前から上腹部痛あり。左下腹部に圧痛あり。反張痛なし。デフェンスなし。
CRP9.2 WBC15100 LDH301 plt 54.9万
既往:DM,脳梗塞 アレルギー性紫斑病
内服:アマリール,バイアスピリン
→ 脾動脈瘤であり,コイルにて塞栓した。術後瘤内は血栓化した。術前CTで脾実質は造影されず、疼痛の原因は脾梗塞と思われた。
症例2
38歳 女性
2週間前から上腹部痛あり、4日前に右下腹部痛となる。近医受診し、虫垂炎疑いにてER受診。マックバーニーに圧痛、反張痛。CRP1.1 WBC7700
既往:尋常性乾癬
薬歴:加味逍遙散(かみしょうようさん)、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
→ 上行結腸に限局する浮腫状壁肥厚、血管(おそらく静脈)の著明な石灰化から静脈硬化性大腸炎(phrebosclerotic colitis)と考えられた。加味逍遙散との関連を示唆する報告がある。
3)森先生
71歳 男性
直腸癌術前で他院より紹介された。直腸診で6時方向を触れると疼痛あり。
Labo data:CEAを除き正常範囲内。CEA 6.5↑(<5)
直腸Rbの右背側を中心に直腸背側を取り囲む病変を認めた。内部吸収値は骨格筋と同程度で一部液体に近い領域も見られた。周囲脂肪織との境界は鋸歯状。内部にairや石灰化像は指摘できない。T1W:low T2W:high →液体信号。気泡 or 石灰化と思われる無信号域あり。直腸背側を半周性に取り囲む。右背側で直腸内と交通を認めた。歯状線よりやや口側で直腸内との交通を認めた。
バリウムを用いて透視を行った。空気を注入開始後すぐに直腸Rb部より背側に嚢状に膨らむ構造物を認めた。辺縁は頭頂側で平滑、尾側で粗造。直腸内との交通は良好で体位変換とともに容易にバリウムの充盈と排出を認めた。そのほかRsにapple coreあり。
→ 直腸憩室と診断した。
手術所見(憩室のみ記載)
直腸Rbに憩室を認めた。憩室の口側は直腸内腔より連続する正常粘膜を認めたが肛門側は瘢痕化していた。視触診上の印象としては腫瘍の合併は認めなかったため、切除に関しては考慮はしなかった。腸管再建の際に瘢痕部が邪魔で吻合器が入らず切開を行った。病理は提出していない。
直腸憩室
・頻度としては0.08%ほど.
・高齢者に多い.
・性差ははっきりとした傾向はない.
・偶然発見例が多い.
・単発性.
・結腸憩室と比べ大きい.
粘膜脱が生じた直腸筋層に対し,排便反射による間欠的な直腸内圧の上昇.
・側壁発生例が多い.
解剖学的に脆弱.
・画像所見:
透視や内視鏡,CTなどによる憩室の確認.
・合併症:
㈰膿瘍形成 ㈪穿孔 ㈫近接臓器との瘻孔形成 ㈬出血
腫瘍合併の報告も.
・症状ない場合,外科的処置は不必要.
(古藤雅彦 他. Progress of digestive endoscopy 1987;30:343-)
・なぜ結腸憩室に比べ発生頻度が低いか?(仮説)
直腸周囲は縦走筋層や会陰筋などでストレスから守られている.
排便時の腸管内圧は直腸内では結腸内より低い.
直腸の蠕動運動は結腸より少ない.
・成因ははっきりしない.考えられる点としては以下の通り.
肥満から筋層への脂肪沈着による二次性のweak spotの形成.
坐位での仕事.
先天性奇形.
慢性便秘による直腸壁の萎縮性変化.
異物損傷.
炎症による直腸壁の脆弱化.
食習慣の変化による腸管内圧の上昇.
加齢.
(Walstad Am J.Surg. 1968;116:937-
Mcliwain et al. J. Mississippi med. assoc. 1968;9:362
古藤雅彦 他. Progress of digestive endoscopy 1987;30:343-)
コメントを投稿