2007年6月13日水曜日

三河の会の症例 6月4日



大場先生

65才男性、右腎盂の拡張。造影では腎盂に腫瘤状の病変がある。盂自体の拡張はない。尿管拡張もない。肝門部にも腫瘤がある。門脈は内部を通過している。ERCPでは胆管の狭窄はない。血管造影では濃染される。生検によりfibrosisの所見が得られた。fibrosisは後腹膜だけではなく腎盂にもよく見られる。腎に初発することもある。





北瀬先生

59才男性 phlebosclerotic colitis
肝硬変症で
follow中。脳腫瘍が見つかる。上行結腸壁の肥厚と静脈壁に石灰化が認められる。PETでは軽度の集積がある。内視鏡では上行結腸壁に軽度の粘膜肥厚が認められた。

=====

59歳、男性
脳腫瘍の全身検索にてPET-CTを施行した。
CTでは上行結腸の壁肥厚と周囲静脈の石灰化がみられた。
PETでは上行結腸は全体に軽度の集積がみられた。
内視鏡検査では上行結腸の発赤と長軸方向の陥凹性病変→生検にて腺構造の乱れと非特異的炎症所見であった。

診断:phlebosclerotic colitis
(脳腫瘍に関しては不明)

=====




小林先生

73才男性 右季肋部痛、下腹部痛、右下腹部に圧痛がある。WBC 13500 CRP 11と炎症所見がある。上行結腸~盲腸に腫瘤状病変、肝にSOL、腹横筋膜にも腫瘤状構造が見られる。膿瘍か腫瘍および転移か。USではほぼ等エコー。手術で盲腸腫瘍、腹横筋には膿瘍形成が認められた。肝のSOLは転移巣であった。

=====

73才男性
数日前より右下腹部痛あり。右下腹部に圧痛強く、反跳痛も軽度あり。
WBC18000、CRP20.
→CTにて盲腸および肝に腫瘤あり。どうちらも膿瘍?あるいは盲腸腫瘍の肝metaか
→手術にて盲腸Ca.の肝metaであった。右腹横筋内には膿瘍形成もあった。

=====


小林先生

78才女性 3年前に胃癌で手術(stage 1b)。転倒、歩行困難となる。痛みは強くない。CRP 4.0 WBC 13000。胸椎椎体の圧迫骨折、癒合傾向が見られた。胸水が認められる。椎弓までT1強調像で信号変化が認められる。膨隆も認められる。後方徐圧術が行われた。細菌性椎体炎であった。

=====

78才女性
H16年に胃Ca.(stageⅠB)にて胃全摘術。
転倒後両下肢しびれ、歩行困難あり。WBC13900、CRP4,86。
MRIにて胸椎に圧迫骨折、脊柱管狭窄あり。同部にmeta?炎症?
→後方除圧施行。炎症であった。

=====

村上先生

82才男性 高血圧 CTでは硬膜下血腫が見られる。トルコ鞍から左海綿静脈洞にT2強調像およびFLAIRで高信号を呈する病変が認められる。海綿状血管腫などが疑われる。

村上先生

59才 下腹部痛 CTで小腸に広範な浮腫(target sign)、盲腸に濃染が見られる。アニサキスであった。follow upで盲腸に濃染が残存する。盲腸癌であった。




浅井先生

75才男性 糖尿病、便秘症。左肩の腫瘤を指摘された。多部位に腫瘤が認められた。CTでは皮下、筋内などに多発腫瘤が認められる。造影では内部は造影不良を呈した。生検でadenocarcinoma。肺癌のマーカーは陰性であった。喀血で永眠された。原発は不明だが肺癌が疑われる。

=====

症例:75才男
糖尿病、気管支喘息、高血圧で開業医に長年通院。
平成19年3月、右肩に腫瘤があるのを、この開業医が気づく。
本人の話では、平成18年10月ころよりあったと。
当院整形外科へ紹介受診。
画像:
単純X-P 3/16
CT;3/16(単) 5/18(造)
検査:
CEA >1500、 SLX 9(微増)、PSA 正常
上部、下部消化管;異常なし

6/3大量喀血にて気道閉塞、他界。
皮下腫瘤の生検では、壊死の強い腺癌の転移と疑われた。

左肺門部気管支原発の肺癌がCTでは疑われた。
全身状態の衰弱した末期という訳でもないが、皮下や軟部組織を主体に多発壊死転移
巣を形成した非典型的経過をとった症例ということで提示した。

大場先生のコメント;
adenoidcystic carcinomaは腫瘍そのものの性質(分泌物によるものか)により、内部が造影されないことが多く、他の転移巣、転移リンパ節にも同様の所見が認められる。壊死ではない

=====