2011年10月14日金曜日

三河の会の症例 10月3日

1)高見先生

29歳 女性
主訴:呼吸苦,咳嗽
現病歴:二年ぶりに喫煙を再開したところ,3日後から呼吸苦,咳嗽などが出現.発熱もあったため受診となった.
既往歴:過敏性腸症候群
検査所見:WBC 11,600,CRP 16.9 ,SpO2 87%(RA)
経過:経過からAEPが疑われたため,気管支肺胞洗浄が行われた.BALFで好酸球の増加を認め,確定診断となった.ステロイドによる治療が行われ,速やかな症状の改善がみられ,2週間後のフォローのCTでは病変は消失していた.




診断:急性好酸球性肺炎

AEPは20歳前後の健常な若年者に発症することが多い.原因は不明なものが多いが,喫煙,薬剤,真菌,金属吸入などの関与が報告されている.特に喫煙との関係を示唆する報告が多く,ほとんどの症例は喫煙開始後数週間以内に発症する.
胸部単純X 線写真では,両側肺野のびまん性陰影やKerley' s line が見られることが多い.
胸部単純CTの特徴的な画像所見はびまん性に分布する高吸収域,小葉間隔壁の肥厚,気管支血管束の肥厚, 胸水などが認められる.
病初期には末梢血の好酸球は増加しないことが多いが,経過中に一過性に好酸球が増加する. BALFの所見は重要で,好酸球比率が著明に増加する.
鑑別診断として,マイコプラズマ,クラミジア,レジオネラ,ウイルス性肺炎, ニューモシスチス肺炎などが挙げられる.


2)松田先生

34歳 男性
主訴:左顎痛
現病歴:1か月前より左顎に疼痛出現.明らかなきっかけはない.顎運動にて疼痛が増
悪し,圧痛,開口障害を認める.テグレトールにて症状軽度改善.発熱はない.
既往歴:特記すべき事項なし.
服用薬:特記すべき事項なし.



診断:epidermoid


3)石川先生

症例1)74歳 男性。お腹が痛い。→ 魚骨



症例2)75歳 女性。薬を呑んでのどが痛い。→ PTP



症例3)42歳 男。夕食の際にくしゃみをして箸をのんだ。→ 肛門より箸を挿入した。




4)長谷先生

47歳 女性 8/20 腹痛にて近医受診。GIF施行されGUの診断、内服開始。9/2 同医にて腹部エコー施行。膵腫瘤の疑いで当院紹介。
この時は症状改善。甲状腺エコー異常なし。CEA CA19-9共に正常値 gastrin 150pg/ml(正常値)



診断:insulinoma(疑い)


5)上岡先生

72歳 女性  PK術後、f/uのCTで異常を指摘された。

2009.12 膵頭部癌で膵頭十二指腸切除後
2011.1 F/UのCTで脾臓に複数の低吸収値結節が出現(最大で10mm大)。弱い増強効果がみられた。経過中での脾自体の増大は認められなかった。(長径93mm)
2011.2 PET/CTでは集積を認めず。MRIではT2強調像、T1強調像ともに低信号、造影では漸増性の増強効果が認められた。
2011.3 脾転移を否定できず、脾摘出術施行。



診断)Sclerosing Angiomatoid Nodular Transformation (SANT)

CT・・・7例。(サイズは4~9cm、年齢36~80歳、男性5例、女性2例 5例がincidental、2例が腹痛主訴)
低吸収値を呈する。動脈相、門脈相で辺縁部の増強がみられ、静脈相で脾実質と等吸収。中心部は低吸収であったり、漸増性に辺縁から増強されたりなどの報告例あり。(1例は2箇所認められた)

MRI・・・3例。T2強調像、T1強調像ともに低信号. 中心部がT2強調像、T1強調像ともに高信号であったり、辺縁部がT1強調像で高信号を呈すなどの報告例あり。

PET/CT・・・2例。サイズは4.3cm、9cm それぞれuptakeあり。中心部のspoke-wheel状の構造がみられたとの報告もある。

Sclerosing angiomatoid nodular transformation of the spleen: CT,MR,PET,and99mTc-sulfurcolloid SPECT CT findings with gross and histopathological correlation. Curtis Thacker et.al.Abdominal Imaging(2010) 35:683-689

本症例は3個同時に認められた。PETでのuptakeはみられなかった。サイズの影響(本症例では最大病変が長径10mm大)もあるかもしれない。CT、MRIの所見はほぼ一致していると思われる。

6)武藤先生

症例1)
39歳 女性
→ venous hemangioma

症例2)
40歳 女性 右下腹部痛、イレウス・腹水 → 結腸腹膜垂による内ヘルニア